【天秤座・満月】人間的経験を超えていく
4月17日に天秤座・満月は、太陽と月がそれぞれ自己と他者を表す場所で向き合うように位置して起こった(日本の場合)。
自己である<わたし>は、他者である<あなた>を見つめる眼差しと、また<あなた>に見つめられる眼差しによって、ここに自分が存在していることを担保している。
この時、<わたし>と<あなた>はお互いの眼差しが交差し合う、自分ではない他者として相手を認識する。
<あなた>は<わたし>ではない、<わたし>にとって対象として現れている他者だ。
しかし、本当は・・・・
<わたし>とは、<あなた>を見て、聞いて、触れて、感じたものを自分の中で感情や思考、感覚、インスピレーションといった’リアクション’としての経験から形成されている。
つまり、<わたし>という存在は、<あなた>が表現したものを受け取った反応としての自己イメージでできているのだ。
だから<わたし>は<あなた>からできている。
<あなた>もまた<わたし>の表現したものを受け取る体験を通しての自己イメージでできている。
<わたし>と<あなた>はそれぞれが存在するために、お互いにお互いを切り離せない関係にある。
ここに、この<わたし>と<あなた>の両者を上位から見つめる第三の眼差しが存在する。
この第三の眼差しは、<わたし>でも<あなた>でもない客観的視点のことだ。
自己の自我と他者の自我を統合して均す意識の視座であり、<わたし>と<あなた>は同質化した存在として感覚させるために、それぞれの体験の共有場としての時空という概念をつくっている。
この、<わたし>という自己の視点、<あなた>という他者の視点、<わたし>と<あなた>を客観的に観る第三の視点、という3つの視点が三角形を形成して、その中をグルグル周りながら感情、思考、感覚を体験しているのが’人間の意識’だ。
特に三角形の頂点になる視点は、底辺を作る他の2つ視点を見下ろし支配する階層意識をつくり、これが一神教的精神(絶対的トップに位置する者がその他の下層を全て支配する概念)や主権という概念を形成し、それによって社会構造やシステムがつくられているのが人間の世界だ。
これは’人間’という集合意識レベルで動いており、個々の人間においてはほぼ無意識の自動反応として、その中で’人間と人生’を反復してきたのが人間の歴史そのものなのかもしれない。
これをおそらく直観視した人物のひとりがニーチェで、この永久に繰り返し反復する人間意識の輪廻を’永劫回帰’と呼んだのだろう。
実は、今、この3つの視点で形成された三角形の中で、死んでも、生まれ変わっても、また忘却の中で無意識な自動反応として繰り返し永続するこれまでの人間の意識の、人間という歴史の、ピリオドが打たれようとしているようなのだ。
特にこの数年は大転換期と叫ばれているが、経済だの、文明だのといった人間社会レベルでの話ではなく、私たちが曖昧で無意識に認識していた’人間であること’や人生について、それを支えていた人間意識の構造そのものが大変容するのだと、個人的には感じている。
つまり、これまでの人間意識と、それがつくり出してきた人間という概念自体が全く別次元のもの(人智を超えたもの)になるのではないか、ということだ。
その鍵になりそうなのが、前述した人間意識をつくっている三角形。
実はこの三角形には、向き付けが逆方向の三角形がもう一つ存在している。
あらゆるものがそうであるように、この2つの三角形もあるひとつのものの表と裏に過ぎない。
そのあるひとつのものとは、向きの違うふたつの三角形を重ね合わせた六芒星のこと。
今、これまで潜在していたもうひとつの三角形が顕在化しようとしている。
それは、これまで人間意識として表出していた三角形をひっくり返して反転させた三角形だ。
この隠されてきた三角形を浮上させるのに、その頂点を見つけることは重要になるだろう。
それは、現三角形の頂点(第三の視点)を観る’目’だ。
つまり、支配や主権を主張する一神教的精神を時空を超えたところから見据える意識の視座である。
この一神教的精神はどこかの国の権力者や社会統制に関わる一部の支配層のことだけを表しているのではなく、個々人の中にもある自我(エゴ)そのものでもある。(このことは、逆に現三角形の世界は自我の世界とも言える。)
だからこの隠された三角形の頂点を見つけることとは、自ずと自我(エゴ)を解体、ないし超越するということを意味している。
さらにそれは、この三次元時空(という概念世界)の中にはないということも。
その隠された三角形の頂点を見出した時、これまでお互いに同質の物質的な人間という対象としてしか観ることができなかった<わたし>と<あなた>が、永遠の中にその精神的本性として出会い、結び合う霊的な体験が待っているのかもしれない。
最後に、この隠された三角形の顕在化は、精神修行でもして覚醒したどこかの高次元なる意識レベルで起きるのではないということ。むしろこの考え方こそ、一神教的精神がつくり出した現三角形の意識の罠だということに気付く必要がある。
実のところ、三角形は隠されてはおらず、はじめから今もあなたの目の前に開示されているのだ。
あなたはいつでも既にそれを見ているのにそれに気づいていないだけ。
あなた以外の誰も何ものも不可侵である、あなたの心の世界の中に純粋な意識の視座でもって、六芒星として輝いているのをいつも観ることができるのだから。